日本では健康補助食品ですが、海外では医薬品というのは本当？
本当です。日本では、ノコギリヤシはサプリメントなどと同じ「健康・栄養補助食品」として扱われていますが、ヨーロッパの多くの国では、前立腺肥大症に対する医薬品として処方されています。
どのようにして世界中に広まり、薬効が認められるまでになったのかをまとめてみましょう。
そもそもノコギリヤシとは、北米南部に自生するヤシ科の植物です。
ギザギザしたノコギリのような形の葉から、この呼称が生まれました。
現地に住むインディアンは、古くから経験的にその強壮成分に気づいており、習慣として、ノコギリヤシの果実を乾燥させたものを精力増強剤として利用していました。
19世紀になり、ヨーロッパから北アメリカへの移住が始まった際、インディアンたちが用いるこの果実にヨーロッパの人々が注目します。
諸国へ持ち帰ってさまざまな実験・テストが行われ、主要成分やその成果が解明されていったのです。
1960年代には、その果実の油性成分がもたらす排尿障害への影響が示され、1990年にフランスのシャンポール博士が「前立腺肥大症への成果」について報告を行ったことで、医学会においてもノコギリヤシが取り上げられるようになりました。
役割を示すいくつかの実験データがあり、天然成分で副作用の心配がないことからも高い評価を得ています。
ノコギリヤシを医薬品として認可するのは、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、ベルギー、ハンガリー、スウェーデンなどのヨーロッパ諸国です。
こういった近年の医学界の流れや、高齢化社会による排尿関連トラブルの増加を考えると、日本でもより一層の研究が望まれており、将来的には医薬品として取り扱われる可能性もあるかもしれません。
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ハーブ療法の捉え方の違い
ノコギリヤシを医薬品として用いるヨーロッパにおいては、「ハーブ療法」という治療法が確立、運用されています。
ハーブ療法は、植物の各部分の薬理効果を利用することで、心身の緊張をほぐしたり疲労を取り除いたり、利尿を促して血行を良くするために用いられます。
日本でも昔から、特定の植物を煎じて飲む習慣がありますよね。
世界中で知られる漢方薬による治療も、ハーブ療法のひとつです。
日本においては、ハーブは香辛料・香草として料理に加えたり、アロマオイルとしての使用が大部分で、近年になってノコギリヤシのようにサプリメントとしての使用が増加してきたという状況です。
これらは食品や雑貨として誰もが手軽に購入できるわけですが、薬理効果が存在することもあり、その取り扱いにはある程度注意が必要です。
例えばアロマオイルは、ほんの数滴を水に溶かしたりお香のようにたいて使うものであって、肌に直接つければ赤くただれてしまいます。
植物によっては妊娠中・授乳中には使えないもの、消化器が弱っているときには使用しないものなど、薬理効果に沿った使用法があるのです。
その薬効の現れ方についても、使用量や使用法、個人の体質・体調によって違ってきます。
ヨーロッパでノコギリヤシが医薬品として処方される際には、医師がしっかりと診断を行ったうえで処方されますし、「ハーブリスト」というハーブ専門の薬剤師が置かれています。
日本では、医薬品として認定するには科学的データが足りないという見解からサプリメントとして扱われてきましたが、近年、厚生労働省がハーブ規制を緩和したことによって、ノコギリヤシなどのハーブ類の認知が日本でも広まりつつあります。
安心・安全なノコギリヤシ
ヨーロッパ各国で、ノコギリヤシが泌尿器系疾患の患者に対し、医薬品のなかでも好んで処方されている背景には、そのエビデンスはもちろんのこと、「自然由来で副作用がない」という安全性も考慮されています。
各国で行われた数々の臨床試験において、トイレの回数が多いといった悩みに対しノコギリヤシエキスが役立つことが分かっている一方で、安全性に関しては「まれにお腹がゆるくなる」といった程度で、副作用と呼ぶような反応は確認されていません。
こうした理由から他のハーブ類にもましてノコギリヤシが広く処方されており、ノコギリヤシを主成分に、他の植物性の抽出物と合わせた薬が処方されることもあります。
世界ではこのように利用されているという情報は、日本でサプリメントとしてノコギリヤシを服用する方にとっても、心強く嬉しいですね。
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