ノコギリヤシは排尿トラブルの民間療法に使われていたの？
アメリカ南東部に自生する低木のヤシ科植物・ノコギリヤシが、現地のインディアンたちによって昔から用いられてきた、という話は有名です。
詳しくは、フロリダに住むセミノール族が、民間療法、伝統療法に用いていたと言います。
セミノール族とは、狩猟や漁労を生業として、簡単な草ぶきの家に住み、スペイン風の鮮やかな衣装で暮らしていた、北アメリカインディアンの一部族です。
白人の侵略や強制移住に抵抗して、3回の「セミノール戦争」を戦ったことで知られます。
戦争後は指定居留地へと移住し、他部族と自治組織を形成しましたが、オクラホマ州の独立とともにその自治組織は失われました。
狩猟生活の中でセミノール族は、ノコギリヤシの実を食べる馬の毛艶の良さに気がつきます。
そして、滋養強壮が必要な時や泌尿器トラブルがある時に、ノコギリヤシの実を食用に、つまり民間療法に用いるようになった・・・というのが通説です。
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限られた地域から世界へ渡ったノコギリヤシ
ノコギリヤシは固い果実をつけます。
現在の技術では果実の中の必要成分だけを取り出すことが可能ですが、当時はすりつぶして乾燥させたり、煮出したりして利用したものと考えられます。
このほかに、ノコギリヤシ果実の油分は、ランプ燃料や食用油としても利用されてきました。
セミノール族が戦争をしていたのは1810～1850年代頃、ヨーロッパ系の民族がアメリカに移住してきた時代です。
移民によって、セミノール族が民間療法に用いていたノコギリヤシがヨーロッパへと渡り、今度はメディカルハーブとして、医学的な研究が行われるようになります。
こうして、インディアンにとっては民間薬であったノコギリヤシが、現代のヨーロッパ数か国では処方薬として扱われるようになったのです。
日本やアメリカでは、サプリメントとして利用されています。
伝統的に用いられてきた、植物の力
民間療法には、ノコギリヤシのように栄養を摂る方法のほか、マッサージや、自然治癒を利用するホメオパシー、指圧や瞑想、ヒーリングなどが挙げられます。
薬草や免疫療法なども、民間療法の一つです。
民間療法というと、医学的な根拠のない怪しげな施術、という印象を持つ方もいるかもしれません。
しかしそこには、ノコギリヤシのように「その地域に伝統的に言い伝えられてきた知恵である」という事実があります。
例えば「風邪のひき始めに葛根湯を飲む」というのは、日本で広く行われてきた民間療法です。
その力を確認した報告があり、西洋医学の解熱剤を飲んだ時と葛根湯を飲んだ時とでは、解熱するという結果は同じであるものの、解熱後の爽快感は圧倒的に葛根湯の方が良かったそうです。
葛根湯のような植物由来の力の方が、アプローチがより柔軟で、体に優しいということなのかもしれません。
同じように植物由来で、民間療法に用いられた歴史があるノコギリヤシは、副作用のリスクがほとんどなく、多くの方が安心して飲めます。
体質との相性によって実感の個人差はあるものの、排尿の悩みに心当たりがある時には、試してみることをおすすめします。
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